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損をしないフリーターの働き方|税金・保険・年金を知る

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フリーターとは

定職につかず、アルバイトなどで生活費を得ている人を指します。

フリーターのタイプ


「モラトリアム型」(約5割)

現在フリーターで最も多いタイプで、フリーターとなった当初に明確な職業展望を持っていなかったもの。

「夢追求型」(約1割)
「芸能関係の職業、もしくは職人・フリーランス型の職業につきたい」という、明確な目標を持っているタイプ。

「やむを得ず型」(約4割)
本人の意欲とは別の、労働市場の悪化や家庭の経済事情、トラブルなどの事情からフリーターを選択したタイプ。                       

(an report 2016.6.15より引用)

「夢追求型」「やむを得ず型」タイプは、正社員として働くには条件が合わないため、フリーターを選んでいます。そして、芸能関係や親の介護など時間に制約があるため、結果的に

アルバイトしかできない というフリーターも少なくありません。

それなら、どのような働き方がベストなのでしょうか?

損をしないために、税金、保険、年金について、順に考えてみましょう。

 

税金について

フリーターでも一定以上の収入があると「所得税」と「住民税」の支払い義務が生じます。

給与所得者の所得税

●所得税は年間(1月~12月)の所得合計金額が103万円以上の場合に課税されます。

計算期間について
1月1日から12月31日までをひとくくりとし、給与の場合は支給日を収入として計算します。例えば、12月中に働いた分を1月中に支給された場合、その給与は1月の収入扱いとなります。

交通費について
事業主が個人に交通費を支払う場合、基本的には非課税です。受け取った人は所得税を支払う義務がありません。
(社会保険の扶養130万円の壁においては交通費を含めます。)

●所得税は2ヶ月以上同じ職場で働いていて、月の給料が88,000円以上だと「源泉徴収」という形で給与から天引きされます。年間の所得合計が103万円に満たない場合は、年末調整で戻ってきます。ただし、アルバイト先が年末調整をしてくれない場合は確定申告をします。

2か所以上の会社から給料を受け取っている場合
年末調整は1人の従業員に対し、1つの会社でしかできないので、2か所以上から給料を受け取った人は確定申告する必要があります。

アルバイトの給料以外に20万円を超える所得がある場合
アルバイト以外の所得、例えば株式の売買やオークション、芸能活動やアフィリエイトなどのフリーランスな仕事で20万円を超える所得(収入-経費=所得)がある場合は確定申告が必要です。

給与所得者の住民税

●住民税は年間の所得額に応じて課税されます。ただし、市区町村によって年収93~100万円以下の場合は住民税を納める必要はありません。

住民税は前年度の所得にかかる
住民税は前年度(1月から12月まで)の所得にもとに計算され、6月から納付がスタートします。つまり、平成29年は93~100万円を超える収入があったが、平成30年は収入がないという場合でも、平成30年6月以降に納税することになります。

支払
自宅へ市区町村から納税通知書が送られてきますので、指定の金融機関やコンビニエンスストア、ゆうちょ銀行で支払います。。正社員はほとんどの場合、給与天引きされます。

 

社会保険について

フリーターが社会保険に入る

アルバイト先の会社で一定の加入条件を満たしていれば、正社員でなくても、社会保険に加入することができます。

社会保険は医療保険、介護保険、労災保険、雇用保険、年金保険の5種類があります。一定の条件を満たしている国民は社会保険に加入し、保険料を支払う必要があります。

「モラトリアム型」のような特に時間の制約がないフリーターは、社会保険に入る選択をした方がいいと考えます。しかし、支払う保険料が多いので、フリーターの給料では負担になると考えて、入らないような働き方をする人が多いという実態があります。

しかし、条件を満たしていても、会社側が加入をしてくれない、という場合も確かにあります。社会保険料は加入者と会社の折半なので、会社の負担が増えるからです。

社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入するための条件
1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上
もしくは以下の要件を全て満たしているもの

・週の決まった労働時間が20時間以上であること
・雇用期間の見込みが1年以上であること
・月額賃金が8.8万円以上であること
・学生でないこと
・従業員501人以上の会社で働いている

 

社会保険の健康保険(健保)と国民健康保険(国保)について

日本ではすべての国民がこの公的医療保険に加入することになっており、国民皆保険制度と呼ばれます。従って、フリーターでもいずれかの公的医療保険に加入しなければなりません。

医療費の自己負担は、義務教育就学後~69歳までは3割です。公的医療保険に入っていないと、医療費の10割を支払うことになります。

健康保険と国民健康保険の違い

健康保険には、国民健康保険にはない育児休業期間中の保険料免除、傷病手当金、出産手当金などがあります。

しかし、国民健康保険には保険料が払えないというような場合、保険料の軽減・減額・減免・免除の制度が設けられています。健康保険にはそのような制度はありませんが、保険料は会社と折半となっています。

フリーターが公的医療保険に入る方法(3つ)

1.アルバイト先の会社で一定の加入条件を満たして社会保険(健康保険)に入る。
フリーターが健康保険・厚生年金保険に加入するには、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上であることが条件です。健康保険と厚生年金保険は同時に申請するため、どちらかだけに加入することはできません

2.年収130万円以下で親の健康保険の被扶養者になる。

親の健康保険の被扶養者とは?
フリーターを考える場合、親の健康保険の被扶養者とは主に親の収入などで生活をしている子供を指します。自分では生活費を稼ぐことができない収入の少ないフリーターの子供が、親に養ってもらっていると見なされ、親が健康保険に加入している場合には、子供は被扶養者として無料で健康保険に加入していることになります。

フリーターが被扶養者になる条件は?
親が会社に勤めるなどして「健保」と呼ばれる健康保険に加入している必要があります。また、親が健保に加入していても、子供がアルバイトをして年収が130万円を超えている場合(また、親の収入の2分の1を超えている場合)は被扶養者からは外れてしまいます。年収130万円以下で月収も10万8,333円以下に抑えておく必要があります。

3.上記1,2以外は「国保」と呼ばれる国民健康保険に入る。
• アルバイト先の会社で一定の加入条件を満たしていないので社会保険(健康保険)に入れない。
• 親が健康保険に加入していても、子供がアルバイトをして年収が130万円を超えている
• 親が
自営業などをしていて、国民健康保険に加入している。

国民健康保険の保険料
国民健康保険には扶養家族という考え方がないため、健康保険のような関係が成り立たず、加入者全員の収入に応じた保険料が徴収されます。従ってフリーターも保険料を納めることになります。

介護保険について

介護保険とは、高齢者が介護を必要としたときに備える保険です。40歳以上で日本国内に住所がある方は方は加入しなくてはなりません。保険料は65歳までは健康保険・国民健康保険料に含まれており、65歳以上になると年金から天引きされます。

労災保険について

労災保険とは、仕事中や通勤中に負傷した場合や障害が残った場合、死亡した場合などに給付金が出る制度です。保険料は全額事業主負担となっており、労働者が負担する必要はありません。

雇用保険について

雇用保険とは失業給付を受けるための保険です。何かしらの理由で失業した時に、雇用保険に1年以上加入していれば一定の要件のもと給付を受けることができます。

雇用保険の加入要件は「1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあること」とされており、この労働条件に当てはまる労働者は原則として強制的に雇用保険の被保険者となります。

しかし、フリーターは雇用保険に入っていない場合がほとんどです。加入要件を満たしているのに雇用保険に加入させないことは違法ですが、雇用保険の手続きをしていない会社が存在することは確かです。

雇用保険に加入していないフリーターが多い理由は、雇用保険の保険料を加入者と雇い主である会社とで支払うことになるため、会社の負担が増えるからです

 

厚生年金保険と国民年金について

厚生年金保険

厚生年金保険は、国民年金に上乗せされて給付される年金です。基礎年金となっている国民年金の金額に、厚生年金保険の受給額が加算されます。厚生年金保険の対象者は、民間企業に勤める会社員などが挙げられます。

厚生年金保険は保険料を会社と折半するため、負担が少なくなる上、将来受け取る年金の額も多くなります。

国民年金

国民年金は「基礎年金」とも呼ばれるものであり、20歳以上60歳未満の国民全員が必ず加入することになっている年金です。

フリーターが厚生年金保険に加入していない場合、国民年金に加入する必要があります。

国民年金や厚生年金保険加入者は老後にもらえる老齢年金を受取るだけではなく、何らかの原因で障がいを負った場合の障害年金の対象になります。また、万が一死亡した場合には遺族に対して遺族年金が給付されます。

年金滞納するとどうなる?

厚生年金は給料から差し引かれるので、ここでは国民年金の滞納について触れたいと思います。

障害年金や遺族年金は「年金への加入期間が一定割合以上」あることが必要です。つまり、年金を長期滞納(未納)していると後遺症を負った場合や死亡した場合の補償は出ません

そして、国民年金保険料を支払う能力を持っていながら、度重なる督促にもかかわらず保険料を納付する意思がない人を対象に、日本年金機構より保険料が強制徴収されることになります。

経済的に困難な場合には、国民年金保険料の免除・猶予・追納の制度もありますので、必ず免除申請をしましょう。

 

フリーターの103万円、130万円の壁

103万円の壁は税金面での優遇を受けられるかどうかで、130万円の壁は社会保険料の負担をするかどうかの違いがあります。

住民税の(93)100万円の壁もありますが、所得が100⇒103万円になっても、それほどの増税にならないため、あまり気にする人はいないようです。

交通費について

103万円は交通費を含まない金額で、130万円は交通費を含む金額で計算します。交通費を含んで130万円を超えると、社会保険料の対象者となります。

親の扶養を外れるとは

親が子供などを扶養している場合、その人数に応じて一定額の所得控除が受けられます。子供の給与所得が103万円を超えると親の扶養から外れ、親の所得税や住民税上優遇されていた扶養控除がなくなります。子供が扶養から外れることにより、親の所得税や住民税が高くなります

130万円を超えると、親の社会保険(健保)の扶養を外れる為、健康保険や国民健康保険に加入し保険料を自分で払うことになり、手取額は大幅に減ります。ただし、親が自営業などで国保の場合は、扶養という概念がないので130万円の壁は関係ありません。

そして、忘れてはいけないことは103万円を超えるので、子供には所得税の納税義務が生まれます

 

損をしないフリーターの働き方

「モラトリアム型」タイプのような特に時間の制約がないフリーターは、社会保険(健康保険・厚生年金)に入る選択をした方がいいと考えます。なぜなら、国民健康保険や国民年金よりも、健康保険や厚生年金の方が有利な面が多いからです。しかし社会保険に入れない場合、150万円以上ガンガン働きたいところですが、フリーターの平均年収が150万円といいますので、なかなか難しいようです。

「夢追求型」「やむを得ず型」タイプで時間に制約があるようなフリーターは、103万円か130万円で調整しながら働くのが税金や保険料の節約になります。しかし親が健保の場合、親の社会保険の扶養130万円を超えないぎりぎりで働くほうが、収入が多くなります。親が国保の場合は、103万円を超えるようなら、130万円の壁はありませんので、しっかり働きましょう。

フリーター 所得金額 親(健保)の扶養の場合 親(国保)の扶養の場合
(93)100万円未満
(交通費を含まない)
健保(保険料負担
国民年金(20歳以上60歳未満)
国保(保険料負担
国民年金(20歳以上60歳未満)
(93)100~103万円未満
(交通費を含まない)
住民税
健保(保険料負担
国民年金(20歳以上60歳未満)
住民税
国保(保険料負担
国民年金(20歳以上60歳未満)
103~130万円未満
(交通費を含む)
親の扶養を外れる(税金)
住民税、所得税
健保(保険料負担
国民年金(20歳以上60歳未満)
住民税、所得税
国保(保険料負担
国民年金(20歳以上60歳未満)
130万円以上(交通費を含む)
社会保険未加入時
親の扶養を外れる(健保)※
住民税、所得税
国保(保険料負担
国民年金(20歳以上60歳未満)
住民税、所得税
国保(保険料負担
国民年金(20歳以上60歳未満)
130万円以上(交通費を含む)
社会保険加入時(条件有)
親の扶養を外れる(健保)※
住民税、所得税
社会保険[健保厚生年金等](保険料負担
住民税、所得税
社会保険[健保厚生年金等](保険料負担

※親が自営業などの場合は関係ありません。